薬膳料理とは?

薬膳と聞くと「漢方を使った特別な料理」を想像するかもしれません。
でも実は、薬膳は日々のごはんに身近な食材を取り入れるだけで始められる、とてもシンプルな考え方です。

薬膳の基本

薬膳は、中国の伝統医学(中医学)に基づいた「食を通じた健康法」です。
食材にはそれぞれ性質があり、それを理解して取り入れることで体質や体調を整えることができます。

  • 体を温める:しょうが、にんにく、ねぎ
  • 体を冷ます:トマト、きゅうり、スイカ
  • 潤す:れんこん、梨、豆乳
  • 水分をさばく:はと麦、冬瓜、とうもろこし

👉 薬剤師の視点から:
「薬膳の性質は、西洋医学でいうビタミン・ミネラルの働きと似ています。科学的根拠と伝統の知恵を組み合わせると、より安心して日常に取り入れられます。」


身近な食材も薬膳になる

薬膳は特別な食材を使わなくても始められます。スーパーやコンビニにある食材も薬膳的に見ることができます。

  • 梅干し・しそ → 胃腸を整え、疲労回復
  • しょうが → 冷え改善、血流促進
  • トマト → 体の余分な熱を冷まし、夏の不調に

👉 「今日のごはんに一工夫するだけで、それは立派な薬膳になるんです。」


漢方の基礎知識

薬膳と漢方は、同じ中医学の考え方を土台にしています。
ここでは基本的な考え方を簡単に紹介します。

五性(食材の温める/冷ます性質)

  • 熱性:体を強く温める(唐辛子、羊肉)
  • 温性:体をじんわり温める(しょうが、ねぎ)
  • 平性:体を偏らせない(米、にんじん)
  • 涼性:体の熱を冷ます(小松菜、緑茶)
  • 寒性:体を強く冷ます(スイカ、きゅうり)

五味(食材の味と働き)

  • 酸:肝を補い、引きしめる(梅、酢)
  • 苦:余分な熱を冷まし、乾かす(ゴーヤ、緑茶)
  • 甘:気を補い、緊張を和らげる(米、さつまいも)
  • 辛:発散し、巡りを良くする(しょうが、唐辛子)
  • 鹹(塩からい):硬いものを柔らかくする、下に下げる(昆布、貝類)

自分の体質をチェックしてみよう

薬膳では体質に合わせて食材を選ぶことが大切です。
下の質問に当てはまるものが多いタイプが、あなたの体質の傾向です。

冷え性タイプ

  • 手足が冷えやすい
  • 胃腸が弱い
  • 温かい食べ物を好む
    👉 おすすめ:しょうが、にんにく、にら、かぼちゃ

熱がこもりやすいタイプ

  • 顔が赤くなりやすい
  • 口が渇く
  • 辛いものを食べると調子を崩す
    👉 おすすめ:トマト、きゅうり、豆腐、梨

気虚(エネルギー不足)タイプ

  • 疲れやすい
  • 声が小さい
  • 食欲が落ちやすい
    👉 おすすめ:米、いも類、鶏肉、なつめ

血虚(血不足)タイプ

  • 顔色が悪い、爪が割れやすい
  • めまいや立ちくらみ
  • 不眠や夢が多い
    👉 おすすめ:ほうれん草、にんじん、黒ごま、レバー

薬膳を取り入れるメリット

① 未病(病気になる前の不調)をケアできる

薬膳の大きな魅力は「病気ではないけれど調子が悪い」=未病の状態を整えられることです。

  • 疲れやすい
  • 冷え性
  • 眠りが浅い
  • 胃腸が弱い
    こうした小さな不調は病院で治療するほどではなくても、毎日の生活には影響します。
    薬膳では体質に合わせた食材を選ぶことで、自然に体のバランスを戻していけます。

② 身近な食材で実践できる

「薬膳=高価な漢方食材」と思われがちですが、実際はスーパーやコンビニで買える食材でも十分です。

  • 梅干し → 疲労回復
  • しょうが → 冷え改善
  • トマト → 体の熱を冷ます
    👉 特別な準備や出費がなく、今日から始められるのが続けやすさの理由です。

③ 体質改善につながる

薬膳は即効性というより「じわじわ効いてくる」イメージです。
毎日の食事で少しずつ整えることで、

  • 風邪をひきにくくなる
  • 冷えやのぼせが改善する
  • 疲れにくくなる
    といった体質の変化が期待できます。

④ 家族みんなで取り入れられる

薬膳は「薬」ではなく「食事」なので、家族でシェアできます。

  • 子ども → 消化にやさしい食材で胃腸ケア
  • 妊婦さん → 貧血予防や体を温める食材をプラス
  • 高齢の方 → 消化しやすく、体を潤す食材で体力維持
    薬学的にも、副作用の心配が少なく生活習慣病の予防にもつながる点は大きなメリットです。

⑤ 心と体を同時に整える

薬膳は体の調子を整えるだけでなく、心にも作用します。

  • 香りのあるしそやみょうが → 気分をすっきりさせる
  • 甘みのあるかぼちゃやさつまいも → 緊張をほぐしリラックス
    ストレスや心の疲れが体調に直結する今の時代、心身をまとめてケアできるのは薬膳の強みです。

⑥ 薬学的な観点からも安心して使える

薬膳の考え方は「自然の食材でバランスを整える」ものです。
薬剤師の視点から見ても、薬との飲み合わせや安全性に注意しながら紹介できるので、安心して生活に取り入れられます。

まとめ

薬膳は「日々の食事でできるセルフケア」です。
体質や体調に合った食材を選ぶことで、体を内側から整えることができます。

👉 当サイト「いぶしろれしぴ」では、3つの食材で作れる薬膳ごはんを紹介しています。
今日の食卓から、気軽に薬膳を取り入れてみましょう。